カテゴリ:学校だより
学校だより 2月号

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「待つ」

副校長 三橋 智子

 

 先日の展覧会ではたくさんの方々のご参加をいただき、ありがとうございました。いつも本校の教育活動にご理解とご協力をいただいていること、この場をお借りしまして、改めてお礼を申し上げます。
 これまで学校を引っ張ってきた6年生から、この展覧会で学校全体に関わる仕事の大部分を5年生が担って行きます。最高学年に向けてどのように成長していくのかとても楽しみにしています。
 さて、6年生が卒業文集に取り組むこの時期になると思い出すお子さんがいます。A子さんとしましょう。彼女は自分が3年生の頃の失敗を6年生になって卒業文集に書きました。それはこんな内容です。
 3年生のA子さんはとても元気がよく、学校の帰り道によくいたずらをしていました。ある日、よそのお家の玄関先にオレンジ色のきんかんの実がたくさんついているのを見付けました。面白半分にA子さんは石を投げ、そのきんかんの実を落としてしまいました。A子さんから話を聞いたお母さんはA子さんと一緒に謝りに行きました。でもそのお家の方は許してくれません。帰り道、そんなに怒らなくていいのにと言うA子さんにお母さんはたった一言、「あなたにはまだ分からないでしょう。」とおっしゃって、きんかんの苗木を買ってくださいました。その苗木に毎日水をやり、6年生になったとき、ようやく実がついたそうです。そしてA子さんはお母さんがあのときおっしゃった意味が少し分かったような気がしたという文でした。
 もし、A子さんのお母さんが謝りに行ってくれなかったら、もし、A子さんの言うことに同調して相手を悪く言っていたら、そして、もし、彼女のその後の成長を信じて「待つ」ことをしなかったら、6年生となって、3年生の自分の失敗に気付いた彼女はいなかったのだろうと考えます。
 卒業文集には続きがあります。彼女は将来誰かの役に立つ仕事に就きたいと結んでいました。6年生のA子さんは元気で明るく、正直で誰からも好かれる女の子でした。その後もやっぱり彼女はその性格のよさから周りにいるたくさんの人が惜しむことなく手助けをしてくれるような学生生活を送りました。そして彼女のためならと、これまたたくさんの友達が勉強の手伝いをしてくれて、医師試験に合格することができました。今やA子さんは6年生のときの望みどおり、たくさんの人を助けるお医者さんとして活躍しています。
 ただ「待つ」のではなく、適切な働きかけをした上で、子どもを見守り「待つ」こと。この難しいことをしなければればならないといつも考えています。
 

四小だより(2月)

公開日:2025年01月31日 11:00:00
更新日:2025年02月04日 14:44:35